日本瓦(和型)
瓦は日本の伝統美 〜文化建築の屋根材〜
最大の特長は、何と言っても見た目が美しいことです。
日本各地に数多く存在する歴史的文化建築の屋根には、日本瓦が似合います。


あなたの自宅に日本瓦を使ったら。
ふと屋根を見上げた瞬間、縦、横、斜めのラインが織りなす美しさに、思わずうっとりとすることでしょう。


日本文化に瓦あり
奈良や京都をはじめ、日本各地の文化建築の屋根を見ると、みんな瓦です。
それは、長持ちするからです。
自然の素材である粘土を焼き固めて作った、現在でも屈指の耐久性を誇る材料です。
長持ちするから経済的
一般に、瓦は100年以上持つと言われています。
長持ちするということは、頻繁に交換する必要がありません。
また、瓦は表面を塗装しません。
そのため、太陽から降り注ぐ紫外線による塗装の劣化がありません。
また、仮に何らなの理由で瓦が割れてしまっても、1枚ずつ交換することが可能です。
地震にも風にも火事にも強い〜優れた防災性能〜
地震や風にも耐える構造
現在、日本で使われている日本瓦のうち、8割以上は防災瓦です。
瓦と瓦が噛みあうような形になっています。
台風などにより横風を受けても、浮き上がらないような構造になっています。
さらに、地震により家屋が揺れても、瓦と瓦が噛みあっているためズレないのです。
瓦は250kgに耐える
JIS(日本工業規格)により瓦の強度は1500N(約150kg)以上と定められております。
しかし、実際の曲げ破壊試験では、250〜300kgの強さが確認されています(全瓦連・粘土瓦 ハンドブックより)。
250〜300kgは大型バイクにライダーが乗車したくらいの荷重に相当します。
現在生産されている瓦は、JIS規格で定める強度をはるかに上回る品質を持っています。
夏は涼しく、冬は暖かく 〜快適な家は屋根材選びから〜
金属やスレートなどの他の素材と比較して、瓦自体が断熱性を持っていることが特長です。
夏場には屋根と天井の間にある空間(小屋裏)の温度上昇を抑え、瓦屋根にするだけで7〜8℃も温度を下げることができます。
一方、冬になると部屋を暖かく保ちます。
日中、瓦に蓄えられた熱が日没後の温度低下を緩やかにしてくれます。
さらに、瓦の裏面にできる空間は、空気の通り道として機能しています。
湿気がすき間を通って外に出されるため、建物の結露を防いでくれます。
夏は暑く冬は寒い風土の日本では、屋根材に瓦を使うことは、それだけで快適な家づくりになると言えるのです。
災害時に瓦屋根の家屋倒壊が目立つ理由
瓦屋根というと、どちらかというとマイナスなイメージを持つ方が多いようです。
・地震で瓦が落下したり、瓦の重さで家が倒壊する
・台風で瓦が吹き飛ぶ
それは大震災などでメディアが全壊・半壊した家屋を集中的に報道しているからです。

※全瓦連・粘土瓦ハンドブックより抜粋
災害時に倒壊するかしないかは、瓦だけの原因では無いことがわかっています。
専門家によると、昭和56年の建築基準法改正以前に建てられた家屋の場合、木造建築の主な倒壊原因は壁量不足と言っています。
また、経年劣化による接合部の不良や白アリ被害などが重なることで耐震性能が劣化します。
同時に、古い建物ほど瓦屋根の割合が多いため、建物の被害が目立っているのです。
瓦の工法は進化しています 〜強さの秘密 ガイドライン工法〜
1995年に発生した阪神・淡路大震災以降、地震に対する様々な基準が見直されました。
瓦業界では平成11年(1999年)、「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」が施行されました。
通称「ガイドライン工法」です。
目的は次の通りです。
(1)粘土瓦及び厚形スレート施工工事の設計及び施工を行う人を対象とする。
(2)法令に準拠して、風圧力や地震力に対し屋根ふき材の緊結等に必要な構造性能を明らかとする。
(3)屋根ふき材の緊結等に必要な構造性能を確認するための標準試験方法を示す。
(4)法令の仕様規定に対応した標準施工方法(法令の仕様規定より優れた構造性能を有する方法)を例示するとともに、標準試験方法で確認された構造性能を示す。
(5)法令の構造計算規定への対応方法を示す。
(6)その他、耐久性能・防水性能等についての設計・施工法のキーポイントを設計者・施工者に理解、知らしめる。
全145ページの中に、材料、構造計算、試験方法、施工方法などが定められ、強度を数値で表せるようになっています。
平たい言葉で言い換えると、
耐風、耐震性能を維持するために経験と勘に頼っていた部分を、科学的に明確にして、施工者がお客様にわかりやすく説明して理解してもらうことです。
ガイドライン工法はココが違う
古来から、瓦を屋根に固定するには、土葺き工法が使われてきました。
しかしながら、近年の大震災による家屋の被害を教訓とし、さらなる強化が必要だとわかってきたのです。
ガイドライン工法が従来の土葺き工法と比べて大きく異なるのは次の点です。
・瓦をビス(ネジ)や金具で固定する
土葺き工法は、簡単に言うと瓦が土の上に載っているだけです。
そのため、風や揺れに対する強度は、瓦と土の密着性に頼っていました。
そこで、ネジや金具を使って固定するという作業をひと手間加えることで、強度を大幅にアップすることができるのがガイドライン工法です。